映画評『サマータイムマシン・ブルース』
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『踊る大捜査線』シリーズで知られる本広克行監督が、劇団ヨーロッパ企画の戯曲を映画化したSFコメディ。「タイムマシン」が登場するからには、舞台は遥か昔か未来・・・と思いきや、行き先は昨日というスケールの小さいもの。だが、面白さは十分に保証済みの映画だ。
「過去」を変えることで「今」を変えるという『バブルへGO!』などとは違い、こっちは「過去」を変えようとすることで、逆に「今」がなくなってしまうという危機を描いている。そこから歴史を変えさせないように彼らは奮闘するのだが、その行動が結果的につじつまが合い、ひいては時の壮大さを伺わせるものになっている。前半の登場人物の不可解な行動なども最後まで見ればよくわかる。あのエアコンのリモコンがあれだけの時を経てきたということも納得がいく。まさしく「時をかけるリモコン」だ(笑)
結果を見れば、この作品でのタイムトラベルの描き方は、「時間」はそう簡単に変えられるものではない、不可避な力を持った存在だということである。そんな力に抗おうと思ったのか、主役の甲本拓馬の最後でメンバーにある問いかけをする。
「過去」よりも変えたいもの、それは…。それはそれで、かなり困難かも。