『オトナ帝国』『戦国大合戦』の原点。原監督デビュー作
藤子・F・不二雄原作の『エスパー魔美』の劇場版としてよく知られている作品だが、同時に『クレヨンしんちゃん』シリーズの原恵一監督の映画デビュー作でもあり、のちの『オトナ帝国』『戦国大合戦』への礎となった作品と言っていい。ストーリーは、原作の「人形が泣いた?」を基にしており、展開こそは原作どおりとなっているものの、人形劇団を率いるのがおじいさんから若い男女に差し替えられ、その上、オリジナルストーリーとして彼らの物語を組み込み、原作のプロットの良さと原監督の作家性が見事に融合した傑作となっている。
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テルーだけじゃない!ここにも癒しの主題歌が。

今年の夏、期待のアニメ映画といったら、やっぱり宮崎吾朗監督作品の『ゲド戦記』だろう。だけど、中身そのものよりも、むしろ、挿入歌「テルーの唄」を歌った手嶌葵のほうに注目が集まってしまった感も否めない。よほど彼女の歌声がとても印象に残るもので、その透き通った歌声に多くの人たちが癒されたわけで…。
では、もう一つの期待のアニメ映画、細田守監督の『時をかける少女』はどうか。筒井康隆の人気小説の初のアニメ化ということで注目されているが、こちらの主題歌も『ゲド戦記』と同様、癒しの歌声を奏でてくれる。歌うのは、「テプコひかり」のCM曲や、「エキナカ」のCM曲を歌っている奥華子。「♪テプコひかりに決めたのは~♪」というCMソングは、関東地区の人にとっては、すっかりお馴染みだろう。
もっとも、かく言う私は関西人なので、奥華子のことはあまりよく知らない。一応、注目している映画の主題歌ということで、この『時をかける少女』の主題歌「ガーネット」を実際に試聴してみた。軽快なリズムの「テプコひかり」とはうってかわって、しっとりとした曲調。小さい子供が歌っているかのように聞こえるが、単に子供っぽい声ではなく、むしろ母のような温もりを感じさせる透き通った歌声だ。その彼女の歌声をさらに活かしてくれるのが、シンプルなキーボードの音色。変な伴奏をつけるよりも、このほうが彼女の歌声に合っている。まさしく奥華子は、弾き語りをするために生まれたのではないか、そう思わされるほど、印象に残る曲であった。ほんの一部分しか聞いていないが、これはぜひフルで聞いてみたいものだ。
その奥華子のニューシングルは、7月12日に発売。そして、『時をかける少女』は7月15日から全国順次公開。しばらくはこの歌声から抜け出せない日が続きそうだ。
「日本のメディア芸術100選」Web投票が13日より開始
「日本のメディア芸術100選」は、アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの部門ごとに、一般からのWeb投票に加え、メディア芸術祭の歴代受賞者や歴代審査委員、各ジャンルの専門家、有識者へのアンケートもあわせて実施し、日本を代表するメディア芸術100作品を選定する。投票の結果は、2006年10月上旬に、Webサイト「文化庁メディア芸術プラザ」にて発表され、2007年1月21日(日)~2月4日(日)に、東京・六本木の国立新美術館にて行われる「文化庁メディア芸術祭10周年記念企画展」にも出展される予定である。
投票は、2006年7月13日(木)からWebサイト「文化庁メディア芸術プラザ」にて受付開始(8月31日(木)まで)。アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの部門ごとに10作品まで投票が可能となっている。
なお、回答者の中から抽選で100名に、文化庁メディア芸術祭10周年記念カタログ「日本のメディア芸術(仮称)」がプレゼントされる予定。

参照記事:「あなたの投票で選ぶアート・エンターテインメント・アニメ・マンガ、ベスト100」(ITMedia +D Games)
アニメーションREが休刊へ
「アニメーションRE」は、2005年7月22日に創刊。アニメ、ゲームに興味を持つ10代後半~20代のみならず、かつてのアニメ世代である30代~40代前半や社会人層もターゲットに入れ、「アニメージュ」や「ニュータイプ」とは異なった切り口での特集記事や、付録として毎号特典映像を収めたDVDがついているなど、その新しい試みに業界の注目を集めていた。「アニメージュ」「ニュータイプ」という二大アニメ雑誌から外れた読者層の取り込みが期待されていたが、3~4ヶ月に1回という不定期刊行や販売プロモーションの不十分さのためか、認知度はいまひとつの感も否めず、今回の休刊につながったものと思われる。
インデックス・コミュニケーションズは、マッド・ハウスを傘下にもち、タツノコプロダクションにも出資しているインデックスグループの一社であり、同誌を活用してのコンテンツ展開も期待されただけに、残念な結果となった。
「ニュータイプ」「アニメージュ」とは異なる観点からアニメ・ゲームを取り上げる雑誌には、このほかにも日経BP社の「日経キャラクターズ」が、ビジネス的観点から取り上げることで注目を集めているが、同誌は今年に入ってから隔月刊から、3ヶ月に1回の季刊に切り替えており、こちらも思ったほどの成果が上がっていないことがうかがい知れる。また、創刊号の表紙を民主党の鳩山由紀夫氏が飾ったことで話題を集めた、オタク系総合雑誌の「オタクエリート」も、創刊早々に出版元のビブロスが倒産し、事実上の休刊状態になっている。
昨年は「萌え」が流行語大賞に選ばれ、オタク文化が伸びている印象を受けているが、それとは裏腹に新たなコンセプトを打ち出したアニメ雑誌がうまくいっていないこの現状は、アニメファン人口がさほど変化していないということを表していると思われる。新たなアニメファンの取り込みを図ることが、今後のアニメ界において重要な課題といえるが、現状その取り組みがうまくいっていない以上、アニメ界は危機的状況にあると言えるかもしれない。
参考記事:「アニメーションRE休刊へ(6/30)」(Anime! Anime! News)