東京国際アニメフェア2006、今年も開幕
東京都が主催するアジア最大のアニメーション関連見本市、東京国際アニメフェアが今年も東京ビッグサイトで開催された。今年は出展企業が256社と史上最高を記録し、展示面積も昨年の42%増と過去最大規模で行われた。
ビジネスデーの23日(木)~24日(金)を経て、25日からは一般公開日となり、多くの家族連れやアニメファンが来場した。海外からのファンやマスコミの姿も目立ち、その言葉通り「国際」的なアニメイベントとなった感もある。そんな今年5回目の東京国際アニメフェアの、各企業のブース並びに展示コーナーをおおまかにレポートする。
入り口を通って、左に向かうと「第二回特別功労賞」の特別展示が行われていた。昨年新設されて、今年二回目となる今回は、10名・1団体が顕彰された。プロダクション設立では、昨年8月に逝去された、シンエイ動画初代社長の楠部大吉郎氏に贈られた。楠部氏は『わんわん忠臣蔵』『アラビアンナイト シンドバッドの冒険』などで原画を担当。1965年にシンエイ動画の前身、Aプロダクションを設立。シンエイ動画では、数々の藤子アニメを手がけ、その中でも「ドラえもん」は同社の最大のヒット作となり、まさしくアニメ「ドラえもん」の育ての親として貢献した。このほか、『赤胴鈴之助』『宇宙少年ソラン』といった60年代を代表する名作アニメの主題歌を歌った上高田少年合唱団や、声優としては「鉄腕アトム」で主人公アトムを演じた清水マリ氏が初めて顕彰された。
その他の受賞者は以下の通り。
第2回特別功労賞
《制作者》
藪下泰司、瀬尾光世、久里洋二、岡本忠成、木下連三
《音のパイオニア》
宇野誠一郎、清水マリ、井上ひさし、山元護久、上高田少年合唱団
《プロダクション設立者》
楠部大吉郎
(敬称略)
特別展では、楠部氏の描いた原画や上高田少年合唱団のレコードなど、受賞者のゆかりの品が展示され、いずれもアニメーションの歴史を振り返る上では貴重な品である。来場した人は、それを食い入るように眺めていた。
特別功労賞特別展の隣で行われていたのは、特別企画展の「アニメサウンド体験ミュージアム」。今年のアニメフェアのテーマは、「アニメと音」ということで、アニメーションにおけるさまざまな“音”を楽しめる構成に。ここでは、懐かしの白黒アニメから最新アニメまでの主題歌が、OP・ED映像と合わせて視聴できるほか、声優ゾーンではベテランから若手までの人気声優32人の代表作(※)がそれぞれ上映されるなど、ファンにはたまらない夢の空間を演出していた。また、声優さんになりきるアテレココーナーもあり、マイクの前には多くのファンが行列を作っていた。
続いては主な出展企業のブースに参ろう。
ひときわ大規模に出展していたのは、つい昨年経営統合したバンダイナムコグループ。お馴染みのガンプラの展示・販売と、PS2ソフト「Another Century's Episode 2」や2006年夏稼動予定のAC「機動戦士ガンダム SEED DESTINY 連合 V.S. Z.A.F.T. II」をプレイアブル出展。試遊台の前には、多くのファンが行列を作り、プレイをした来場者は最新ソフトの雰囲気を一足早く体感していた。
バンダイナムコに負けず劣らず、東映グループも大規模に出展。今年創立50周年を迎えた東映アニメーションブースでは、日本初のカラー長編アニメ映画『白蛇伝』から、『ドラゴンボール』『スラムダンク』そして『プリキュア』といった最新アニメまでを振り返るコーナーもあり、改めて東映アニメの歴史の長さを伺えた。ブースでは巨大ステージも用意され、アニソンライブ、キャラクターショーが最高潮の熱気の中で行われ、来場者の視線を惹きつけていた。
「竜の首」の巨大模型で目を引いたのは、スタジオジブリブース。ブース自体は比較的小規模ながらも存在感は十分。7月公開予定の宮崎吾朗監督の『ゲド戦記』や『王と鳥』、7月発売予定の短編DVD『セロ弾きのゴーシュ』『種山ヶ原の夜』のプロモーション映像を上映し、他とはちょっと異なる趣で、来場者の注目を集めていた。そのスタジオジブリとほぼ一体化して出展していたのは日本テレビブース。こちらは、4月から放送開始の注目作『NANA』にちなんで、劇中に登場する707号室を再現したモデルハウスが登場。『NANA』の予告映像も流され、放送開始に向けて期待が高まる。
その隣は、プロダクションI.G.ブース
ブースでは、現在放送中の『BLOOD+』や4月からテレビアニメ放送開始の『xxxHOLiC』、松竹との共同製作のTVアニメ『シュバリエ』、長編制作が決まっている『功殻機動隊S.A.C.』などのキャラクター設定画の展示とプロモーション映像の上映、4月8日公開の押井守監督最新作『立喰師烈伝』の予告編の上映、さらにI.G.作品のキャラクターグッズ販売が行われていた。『立喰師烈伝』の特別前売券も販売されており、購入すると「ミ二パト」の西尾鉄也氏デザインの『立喰師烈伝』キャラクターマウスパッドが特典として付いている。ファンなら思わず買いたくなってしまう一品だろう。
スタジオジブリの竜ときて、こちらも竜のアドバルーンを上げていたのはフジテレビ。ゴンゾとの共同製作で、7月より公開予定の『ブレイブ・ストーリー』のプロモーションを中心に展開。「幻界おためしツアーズ」と題し、『ブレイブ・ストーリー』の世界を一足早く体感できるアトラクションが用意されていた。
その向かい隣で出展していたのは、今年誕生10周年を迎えた「新世紀エヴァンゲリオン 10th」ブース。綾波レイ、アスカのコスプレをしたスタッフがお出迎え。ブースには、エヴァンゲリオンの原画やセル画、グッズ、はてはエヴァンゲリオン特集が組まれた当時の雑誌記事(庵野監督が表紙を飾った「AERA」)などが展示され、まさしくエヴァづくしの内容。夏には分冊百科「エヴァンゲリオン・クロニクル」が創刊予定であり、まだまだエヴァは終わっていない。
一般企業のほか、東京工科大学やワオ・コーポレーション、東放学園などのアニメーション専門学校の出展も目立つ。出展の最大の目的は、やはり入学生の募集であろう。一部ブースでは学生作品の展示を行うなど、入学生の獲得に必死。一方、海外からの出展も目立ち、アニメーションの発展が著しい台湾や韓国、中国のみならず、スペインやカナダからの出展もあった。我が日本のアニメは、世界から追われている立場であることを実感させられた。
次回は各ブースのイベントをお伝えする。
(※)声優ゾーンに登場した声優(順不同・敬称略)
野沢那智
井上喜久子
大塚明夫
富山敬
平野文
古谷徹
甲斐田ゆき
子安武人
池田秀一
野沢雅子
菊池正美
千葉繁
保志総一朗
三ツ矢雄二
井上真樹夫
日高のり子
玄田哲章
林原めぐみ
石田彰
堀江由衣
山口勝平
高山みなみ
冨永みーな
矢島晶子
川澄綾子
緑川光
三石琴乃
くまいもとこ
桑島法子
たてかべ和也
井上和彦
関俊彦
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