メディア芸術祭アニメ部門は混戦模様
<劇場長編映画>
『パプリカ』(今敏監督)
『鉄コン筋クリート』(マイケル・アリアス監督)
『河童のクゥと夏休み』(原恵一監督)
<劇場短編映画>
『カフカ 田舎医者』(山村浩二監督)
『秒速5センチメートル』(新海誠監督)
『Genius Party』(河森正治、湯浅政明、渡辺信一郎ら)
<TVアニメ>
『電脳コイル』(磯光雄監督)
『DARKER THAN BLACK -黒の契約者-』(岡村天斎監督)
劇場長編映画の『パプリカ』『鉄コン筋クリート』は昨年の公開だが、応募期間の都合上、今年度にまわっている可能性もある。いずれも海外での実績は十分。一方、『河童のクゥと夏休み』は、前作の『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』で第6回のアニメーション部門大賞を受賞した原恵一監督の最新作。感動的なストーリーが話題を呼び、映画評論家・業界関係者からも高い評価を受けている。技術面では見劣りするが、演出・ストーリー面では他を圧倒している。今・原両監督は1度の大賞受賞を経験しており、大賞をとれば、宮崎駿監督に次いで二人目の大賞複数回受賞者となる。
短編映画では、『カフカ 田舎医者』が強力。オタワ国際アニメーション映画祭ではグランプリを獲得しており、賞争いには十分食い込めそう。山村浩二監督は、『頭山』で第6回で優秀賞を獲得しているが、大賞の受賞経験はなし。初の大賞受賞を狙う。
一方、新海誠監督の『秒速5センチメートル』。先日のアジア太平洋映画賞にて、同じくノミネートされていた『河童のクゥと夏休み』を抑えてアニメーション映画賞を受賞している。新海監督は2002年に『ほしのこえ』でメディア芸術祭の特別賞を受賞しているが、部門での大賞・優秀賞の受賞は未だにない。初の部門受賞を果たしたいところ。『Genius Party』は短編オムニバス映画。それぞれ各監督の個性が十分に発揮された傑作となっていて、侮れない存在。そのいずれかが食い込んできそうな予感。
劇場映画だけでもこれだけ充実しているのに加え、テレビアニメでも今年は秀作が目立つ。中でも『電脳コイル』は有力。『新世紀エヴァンゲリオン』などでアニメーターとして活躍した磯光雄原案のテレビアニメ。先日最終回を迎えた今作だが、日常世界と電脳世界が融和する舞台設定や巧みなストーリーなどが好評を得ている。マッドハウス制作というだけあり、技術力も高い。おそらく大賞の最有力候補ではなかろうか。ほか「Open Forum」で推薦を集めた『DARKER THAN BLACK ―黒の契約者―』も手ごわい存在だ。
あくまで商業作品に絞って候補作を挙げているが、これ以外にアマチュアからの応募も入るので、受賞作がどれになるのかはますます予想できない。それほど今年のアニメーション作品は、技術面・ストーリー面ともに優れた作品が多かったことのあらわれであり、これからのアニメーション業界に対する期待がますます膨らむ。状況次第では第5回(2001年)の『千と千尋の神隠し』『千年女優』以来の大賞同時受賞の可能性もある。大賞に輝くのは果たして?
発表は12月4日(火)15:00~の予定。乞うご期待。
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