映画評『ドラえもん のび太の新魔界大冒険』
昨年の『のび太の恐竜2006』より始まった新生ドラえもん映画シリーズ。今年の第2弾は、こちらもまたファンの間でも人気の高い傑作、1984年公開の『のび太の魔界大冒険』のリメイク版。今回は脚本を『ホワイトアウト』で知られる人気小説家の真保裕一氏が手がけ、監督には弱冠30歳の女性監督、寺本幸代氏が務めるなど、新風を吹き込んでいる。
おおまかなストーリー展開は、旧作の『魔界大冒険』とは基本的に変わらないが、新たに加えられたオリジナルのストーリーとして、美夜子の母の存在とそれにまつわるエピソードが加えられ、また、のび太・しずかたちと美夜子の触れ合いも、旧作よりも膨らませて描いている。美夜子のキャラクター像に深みが加わって、とてもキャラに感情移入しやすい作りになっている。
監督が女性だからというのもあるのだろうか、作画タッチや演出も「優しさ」「温もり」というものに溢れており、見ていて不思議と心暖まる。前作は動きの激しさが強調されていて、それはそれで迫力もあり、魅力もあったわけだが、「優しさ」という点においては前作を超えていると思う。ここは一つ、旧作ファンは食わず嫌いにならずに、一見をオススメしたい。
一つだけ苦言を呈すとすれば、やはりキャスティングか?
『ドラえもん』に限った話ではないのだか、安易な芸能人の声優起用は、作品にとってかえってマイナス方向になりかねないということをいい加減わかってほしいものだが・・・。
<解説>
声優陣やキャラクターデザインを一新した『ドラえもん』新シリーズ劇場版第2弾。藤子・F・不二雄の傑作『ドラえもん のび太の魔界大冒険』に新たな発想を盛り込み、魔界に入り込んだドラえもんとのび太たちの冒険を描く。ベストセラー作家の真保裕一が脚本を担当し、監督はドラえもん映画史上初の女性監督である寺本幸代。ドラえもんたちが魔法の世界で出会う美夜子の声に、ドラマやCMで活躍中の相武紗季が挑戦している。(シネマトゥデイより)
<あらすじ>
のび太は「もしもボックス」で現実の世界を魔法の世界に変えてしまうが、仲間たちの中でのび太だけ魔法が使えない。そんなある日、魔法を研究する満月牧師と娘の美夜子に出会い、魔界星が地球侵略を企てていることを教えられる。2人は現実世界に戻ろうとするが、「もしもボックス」を捨てられて帰れなくなってしまう。 (シネマトゥデイより)
<スタッフ>
監督:寺本幸代
原作:藤子・F・不二雄
脚本:真保裕一(『ホワイトアウト』)
作画監督:金子志津枝(『ドラえもん のび太のワンニャン時空伝』)
音楽:沢田完(『ドラえもん のび太の恐竜2006』)
3DCGスーパーバイザー:木船徳光(『BLOOD THE LAST VAMPIRE』『イノセンス』)
主題歌:mihimaru GT「かけがえのない詩」
<キャスト>
ドラえもん:水田わさび
のび太:大原めぐみ
静香:かかずゆみ
ジャイアン:木村昴
スネ夫:関智一
ドラミ:千秋(『エルマーの冒険』)
満月美夜子:相武紗季(『ビートキッズ』)
満月牧師:河本準一(次長課長)
メジューサ:久本雅美(『クリスマス・クリスマス』『理由』)
デマオン:銀河万丈(『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙篇』)
ギム:山崎バニラ
<関連作品>
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